アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
アキレス腱はふくらはぎにある腓腹筋・ヒラメ筋とかかとの骨とを結ぶ非常に太い腱です。
アキレス腱自体には柔軟性はほとんど無く、ふくらはぎの筋肉の収縮を足のかかとに伝え、
足関節の底屈(つま先を下げる)運動を行う役割をしています。
アキレス腱自体の障害をアキレス腱炎と呼び、アキレス腱を覆い腱の滑りをよくして、腱へ
の栄養を供給する組織であるパラテノンの障害をアキレス腱周囲炎と呼びます。
両者は同時に損傷することが多く、どちらの損傷か明確に区別しにくいことや、また原因・
治療法なども同一であることから、特に区別せず同じ扱いで述べられることもあります。
陸上競技を中心とした走る競技やバレーボール、バスケットボールなどの跳躍競技に多く見られるスポーツ障害です。
痛くない方のアキレス腱と比べて腱の太さが太くなり、ひどいと熱感や発赤が見られます。
初期の段階では走れないことはありませんが、運動終了時や朝の起きがけ時に痛みが現れます。ひどくなると安静時にも痛みを感じます。
足関節の背屈(つま先を上げる)時に痛みが増強します。一方、底屈時に痛みが出るようだと『距骨後部圧迫症候群』の可能性が強いので、
底屈時か背屈時か、どちら方向で痛みが増強するかで鑑別できます。
ランニングや跳躍時、はくらはぎの筋肉が収縮するとアキレス腱にテンションがかかり、かかとの骨を引き上げます。そのアキレス腱にかかる負荷の
蓄積によりアキレス腱に微細な傷・断裂が発生し、炎症を起こすことによってアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎が発症します。
単回の強い負荷により、アキレス腱がその力に耐えきれずに損傷する場合は、『アキレス腱断裂』になることが多いです。オーバーユース(使い過ぎ)によるアキレス腱への疲労蓄積が主な原因ですが、次のような原因もあります。
走行フォーム(接地時の足と下腿の角度が大きい、過度な前傾)
・足の指が上がる(歩行時・走行時の癖、急な登り坂、山道、ハイヒール)
・加齢によるアキレス腱の変性(弱くなっている)
・ふくらはぎの筋肉の緊張
・堅い路面
・かかとのすり減った靴
・足底のアーチが高い
※微細なアキレス腱の傷は再生する前に運動を再開してしまうと損傷を繰り返し、瘢痕化といって堅い組織に置き換わってしまいます。
滑らかさが失われた堅いアキレス腱になってしまうので、無理に運動を継続することは避けましょう。



